今日はどんな本をお探しですか? | ワンダーノート

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今日はどんな本をお探しですか?

 

 

本屋に立ち寄る理由。

理由なんて人それぞれだ。

・待ち合わせまでの時間つぶし

・お気に入りの作家さんの新刊の購入

・その他

 

別に本が読みたくて、本屋さんに立ち寄った訳ではない。

 

 

たまたまそこに本屋さんがあったから、足を運んでいただけだった。

何気なく本を物色し、立ち読みをする。このなのとなくの時間は、意外と癒される。

ただ、その日は違った。思わず耳を疑ってしまう出来事が起こったから。

 

 

 

突然、背後から声をかけられた…。

 

「今日はどんな本をお探しですか?」

 

洋服屋さんではあるまいし、店員さんから声をかけられるなんて、あり得ない。

それが世間一般の常識だと思っていた。

 

ただ、その本屋さんのとあるコーナーで本を選んでいると、声をかけられた。

怪しげな男から…。

 

 

頭にタオルを巻き、無精ひげをはやし、本屋の店員とは思えない風貌。

 

少し呼吸を整えて、そのコーナーを見渡すと、その男性の写真が飾ってあり「セレクトコーナー」と記されてある。

不信感は少し和らいだ…。

 

 

男は、私の不信感が少し和らいことを察してか、言葉を続けた。

 

「いま、読まれていた本、すごく面白いですよ!!」

 

 

興味本位で、質問してみた。

 

「え、どんな本なんですか?」

 

 

男は含み笑いを浮かべ、本の説明ではなく、質問を返してきた。

 

「もし、お姉さんに、福の神が取り憑いたとしたら、どんなことが起こると思いますか?」

 

 

私は少し福の神を想像してみた…。

 

一言、答えてみた
「宝ぐしが当たると思います!!」

 

男は待ってました!と、言わんばかりの笑顔を浮かべて、本の話を始めた。

 

 

つづく

 

 

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書き手:井手良平
1984年生まれ
長崎市出身 福岡大学経済学部卒

20歳まで本は全く読まなかった…。
『まず、人を喜ばせてみよう』清水克衛著(書店 読書のすすめ 店主)との偶然の出会いがきっかけで、本の魅力に引き込まれる。

大学卒業後、東京の会社に就職したものの、約2年後に退職し、書店 読書のすすめのスタッフとなる。
人呼んで「本のソムリエ」と言われる店主の元で学び、
毎日、全国各地から来店されるお客さんの接客をする中、本のソムリエの生き方を学ぶ。

その後、実家がある長崎へ帰省し、午前中は家業である蒲鉾屋を手伝いながら、午後は時々ではあるが、長崎市浜の町にある好文堂書店にて本のソムリエとして、お客さんへ本の紹介をしている。噂が噂を呼び、九州各地から来店されるお客さんも珍しくはない。

本の話は堅苦しい!というイメージとは裏腹に、緩くリアルなお客さんとのエピソード話や、ベストセラーではない素敵な本の話などが、面白い!と、学校や図書館、企業からも講演に呼ばれるようになる。